かみ合わせが深い過蓋咬合とは?リスクや治療法を解説
2025/08/20

こんにちは、代々木駅前の矯正歯科、代々木クリスタル歯科医院です。
一口に「歯並びが悪い」「かみ合わせがよくない」といっても、その状態や原因、程度はさまざまです。
例えば、不正咬合の一つである「過蓋咬合」は、一見歯並びが悪いようには見えないこともあります。
しかし、そのかみ合わせが深いという特性から、さまざまな影響を口腔内にもたらします。
今回は、過蓋咬合の原因やリスク、治療法について説明します。
過蓋咬合とは

過蓋咬合(ディープバイト)とは、上の前歯が下の前歯を覆うほど上下の前歯のかみ合わせが深い状態を指します。
健康的なかみ合わせでは、「イー」と口を開けたときに、上の前歯が下の前歯をおよそ3分の1から4分の1(2〜3mm)ほど覆います。
しかし、過蓋咬合の場合、上の前歯が下の前歯にそれ以上に被さっており、下の前歯がほとんど見えなくなる場合もあります。
過蓋咬合の原因
歯ぎしり

歯ぎしりは、無意識のうちに歯を擦り合わせる行為です。
歯ぎしりによって歯が削られると、かみ合わせが低くなり、過蓋咬合を誘発しやすいことがわかっています。
歯ぎしりは、日中であれば意識的に歯と歯を接触させないよう注意することができますが、就寝中は無意識で行われるため予防が困難です。
歯ぎしりは過蓋咬合以外にも歯周病や顎関節症、頭痛や肩こりといったリスクがあるため、ナイトガードを使用して予防するようにしましょう。
上下のあごのバランス

上顎が過成長して長くなる、または下顎が小さいといった骨格的なバランスの不具合も、過蓋咬合の原因となることがあります。
このような骨格の不具合は、遺伝のほか、幼少期の食事内容や口呼吸などの癖が影響します。
あごが成長する7歳から12歳の時期に矯正治療を行うことで、バランスのとれた骨格と歯並びを手に入れやすくなります。
乳歯の早期脱落

虫歯などで乳歯が早期に失われると、前歯に余計な負担がかかり、かみ合わせが低くなってしまうことで、過蓋咬合になりやすくなります。
長時間にわたるお菓子の摂取などは虫歯のリスクを高めるため、子どものころから口内の健康を保つ食習慣とデンタルケア習慣を持つことが大切です。
顎関節の異常
顎関節症やあごの損傷があると、あごの位置がずれ、かみ合わせが深くなるリスクがあります。
歯に比べて顎関節は異常に気付きにくく、異常があっても見過ごされがちな傾向にありますが、顎関節の健康状態を確認し、必要に応じて治療を受けることが大切です。
口周りの悪習慣

下唇をかむ癖や指しゃぶり、無意識のうちに唇を吸う癖、奥歯をかみ締める癖も、歯の傾きを助長し過蓋咬合を引き起こす要因となります。
また、これらの習慣が長引くと、かみ合わせに影響が及び、さまざまな口腔内の問題を誘発しやすくなります。
過蓋咬合を放置するリスク
歯へのダメージ

過蓋咬合の場合、上下の歯が強く接触するため、奥歯の表面が摩耗しやすくなります。
摩耗によりエナメル質が削られ、象牙質が露出すると、虫歯リスクも増加します。
また、歯に強い力が加わることで、虫歯治療の際に詰め物やかぶせ物が外れやすくなることもあります。
歯ぐきや顎関節への影響
重度の過蓋咬合になると、下の前歯が上の歯ぐきに接触し、傷を作ることがあります。
咀嚼や歯ぎしりの動作によって繰り返し接触が起こり、治癒が進まずに傷が悪化する場合も少なくありません。
また、過蓋咬合は顎関節症の要因ともなります。
下あごの成長阻害

成長期のお子さんにおいては、過蓋咬合が下顎の発育を妨げる可能性があります。
10歳から15歳くらいまでの間は、下顎が成長する時期です。
この時期に過蓋咬合があると、自然に前方へ成長するはずの下顎が、深く覆い被さる上の前歯によって成長が阻害され、骨格的な問題が生じる可能性があります。
えらのハリ
過蓋咬合の人はかむ力が強い傾向にあり、その結果として咬筋というかむための筋肉が緊張して、えらが張ることがあります。
えらの張りは見た目に影響を与えるほか、咬筋が緊張することであご周りの筋肉にこわばりや疲労感が出やすくなります。
虫歯・歯周病リスクの増加

過蓋咬合では、前歯同士が過度に重なり合うことで、歯と歯のすき間が狭くなります。
これにより、歯ブラシが届きにくくなるため、歯垢や歯石が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
さらに、過蓋咬合による圧力が前歯に集中すると、歯ぐきが下がりやすくなり、歯根が露出する可能性があります。
これが知覚過敏や歯周病の進行を促進するリスクもあります。
過蓋咬合の治療法
ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを使用して歯を移動させる治療方法です。
過蓋咬合を治療する際には、上顎の前歯の向きを改善し、下顎の前歯を正しい位置に導くことで歯並びとかみ合わせを整えます。
ワイヤー矯正の利点は、さまざまな症例に対応でき、細かな調整も可能なことです。
装置が目立ちやすく、口腔内の清潔を保つための手間が必要である点はデメリットですが、白い色の装置を選んだり、定期的にクリーニングを受けたりすることである程度カバーすることが可能です。
マウスピース矯正

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製の装置を用いて行われる治療法です。
マウスピース矯正の利点は、装置が目立たないことです。透明なため、特に矯正治療中の見た目を気にする方に向いています。
また、取り外しが可能なので、食事や日常の歯磨きにも便利です。
ただし、装置の装着時間が足りないと思うように歯の移動が行われなくなるため、自己管理をしっかり行って日々の装着時間を守る必要があります。
外科的矯正

重度の過蓋咬合や骨格的な問題があるケースでは、外科的矯正手術が選択されることがあります。
上下の顎骨を手術によって移動させることで、歯並びとかみ合わせを整える方法です。
外科的矯正の利点は、短期間で改善が見込めることと、顎骨の位置を根本的に変えることで長期的な安定が期待できることです。
ただし、外科手術にはリスクが伴うため、患者さんの体力や健康状態を十分に考慮したうえで行われる必要があります。
まとめ
過蓋咬合は、さまざまな口腔内外の問題を引き起こす可能性があります。
治療方法には、ワイヤー矯正、マウスピース矯正、外科的矯正といった選択肢があり、症状の程度や患者さんのニーズに応じてどの治療法が適しているかは異なります。
原因や症状を詳しく検査し、それに応じた治療を受けることで、健康的な歯並びとかみ合わせを手に入れましょう。
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