顎変形症の手術は後悔する?治療法のほかデメリットやリスクを解説
2025/12/20
こんにちは、代々木駅前の矯正歯科、代々木クリスタル歯科医院です。
顎変形症という診断を受けた方にとって、手術は一つの大きな選択肢です。
手術をすることによって症状の改善が見込める半面、外科手術によるリスクやデメリットも存在します。
そこで今回は、顎変形症の概要から、その治療法や手術に伴うリスクとデメリット、治療で後悔しないために必要なことを解説します。
顎変形症とは
顎変形症とは、上あご(上顎骨)または下あご(下顎骨)の形状や大きさの異常、そのバランスの不整合によって生じるかみ合わせの問題(咬合不正)や顔の変形などの総称です。
発症には遺伝的要素が大きく影響すると考えられていますが、多くの場合において明確な原因は不明です。
指しゃぶりや舌を出す癖が原因であるという説もあります。
一方で、原因が判明している顎変形症には、生まれつきの顔やあごの病気、顔やあごの骨折が原因となるものがあります。
顎変形症には、上顎骨の変形、下顎骨の変形、さらにそれら両方の変形を伴う場合があり、成長が過剰だった場合と不足していた場合の形状異常に分類されます。
代表的なものには、下顎骨が突き出た下顎前突症、下顎骨が小さい小下顎症、上顎骨が前へ突き出た上顎前突症、前歯がかみ合わない開咬症、左右の顔のバランスが崩れる顔面非対称などがあります。
顎変形症の症状
顎変形症の主な症状には、不正咬合と顔の形状変形があります。
あごが前に出ていたり、左右に歪んでいたり、あごが後退していたりといった状態は、顎変形症の代表的な症状です。
また「うまく食べ物をかめない」「奥歯でしか食べ物をかむことができない」「どの位置でかむべきかわからない」といった咬合不全に関する機能的な悩みを抱えていることもあります。
そのほか、あごの形状に問題がある場合には、口を自然に閉じるのが難しく、無理に口を閉じようとするとあごに梅干しのようなシワができることもあります。
あごの小ささが原因で空気の通り道が狭まることから、いびきをかきやすかったり、その症状がさらに重くなると睡眠時無呼吸症候群の原因となったりすることもあります。
顎変形症の治療法
顎変形症の症状が軽度の場合には、矯正治療のみで対応が可能です。
一方で、あごの形状異常が顕著な場合には、手術が必要となります。
手術を行う時期は、一般的には骨の成長が概ね完了した16歳~18歳以降の早い時期です。
手術は全身麻酔下で行われ、対象となる上顎または下顎の骨を切開し、適した位置に移動した後に固定するという工程を経ます。
通常は口腔内から処置を行うため、顔に傷跡が残ることはなく、手術後は一時的に顔が腫れることがありますが、時間とともに引いてきます。
また、手術の前後には矯正治療が必要になるのが一般的です。
顎変形症治療の費用
顎変形症の矯正治療と入院手術には、健康保険が適用されます。
3割負担の場合、手術前後の矯正治療に20~30万円、下あごのみの入院手術にはおおよそ30万円が必要となります。
上下のあごの手術を行う場合の入院では、40~50万円が目安です。
ただし、これらは高額療養費制度の対象となるため、所得に応じて実際の負担額はもう少し低くなります。
一方で、美容目的の治療に関しては自由診療扱いとなり、骨切り手術が150~300万円、オトガイ形成術は80~100万円、矯正治療が70~150万円ほどかかることになります。
顎変形症治療のリスク・デメリット
手術に伴うリスク
顎変形症の手術は、人工的に骨折を起こし、あごのズレを改善する手術です。
人工骨折を伴う骨の中には、触覚や温冷感などを伝達する役割を担う三叉神経という神経があるため、手術にはその神経の損傷リスクがあります。
また、手術直後には何らかの知覚の異常が確認されることが多いですが、時間の経過とともに解消されていく場合がほとんどです。
顔の変形
顎変形症の手術では、上顎と下顎の骨を移動させるため、術後に顔の形が変わります。
手術によって変わった顔の形が患者さんの希望に沿わないこともあります。
また、上顎の手術では、上顎骨を動かす際に鼻翼部分の骨も連動して動くため、鼻の形が変わる可能性があります。
近年は、鼻の変化をできる限り抑える術式も出てきていますが、もし不安がある場合は事前にしっかりと相談することが大切です。
また、顎変形症手術は美容整形手術ではなく、だからこそ、手術前より美しくなるとは限りません。
手術前に顔貌の予想図をシミュレーションしてもらうことも可能ですが、あくまで予測に過ぎないという認識を持っておくことが大切です。
後遺症が残るリスク
顎変形症の手術後は、唇やあごの周りのしびれや知覚異常といった後遺症が残る可能性があります。
これらの症状は多くの場合は1年以内に改善されますが、リスクがあるということは理解しておくようにしましょう。
また、全身麻酔によるリスクも事前に理解しておくことが大切です。
顎変形症の治療で後悔しないために大切なこと
リスクを把握する
前述したように、手術に伴うリスクをしっかりと理解しておくことが重要です。
合併症や後遺症のリスクは、どのような手術をするにしても避けることはできないものです。
さまざまな配慮がなされたうえで手術は行われるため必要以上に怖がることはありませんが、可能性があるということに関しては把握しておくようにしましょう。
手術の必要性をよく検討する
顎変形症は、放置しても命に直結する症状ではありません。
軽度であれば歯科矯正治療のみで十分とされ、かみ合わせを改善するために手術が必ず必要となるとは限りません。
そのため、顎変形症の手術が本当に必要かどうかを慎重に検討することも、納得のいく選択をするために大切です。
歯科医院・医療機関選びをおろそかにしない
納得のいく歯科医院・医療機関選びをすることが大切です。
顎変形症の手術経験の程度、医師や歯科医師の方針や人柄、医療機関の設備の充実度などにも目を向け、後悔のない医療機関選びをしていただければと思います。
まとめ
顎変形症の手術は、多くの患者さんにとって大きな決断を伴うものです。
そのメリットとリスクの双方を十分に把握し、自分にとって本当に必要な選択肢なのかどうかを精査して、後悔のない決定をしていただきたいと思います。
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